前 田 純 夫 < 前田研究室・微生物学/食品衛生学 >

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前田研究室<微生物学/食品衛生学>


氏名・職
前田 純夫 (MAEDA, SUMIO) 農学博士 准教授
経歴
名古屋大学農学部卒・同大学院農学研究科博士後期課程修了。経済産業省・産業技術総合研究所を経て、現職。
所属学会
日本分子生物学会、日本生化学会、日本農芸化学会、日本微生物生態学会、など。
学部担当科目
微生物学、食品微生物学、食品衛生学、学生実験、ほか。

研究室の紹介

【概要】
 当研究室では、食・生活環境中で「新しい細菌はどのように生まれるのか?」という視点から、
 微生物・遺伝子・食衛生に関する研究を行っています。

【研究の注目点:身近な環境や人体で】
  主な研究対象の一つである 《バイオフィルム》とは、固体表面(界面)に出来る微生物の集まりのことです。
 例えば、台所や水回りのぬめりやコンタクトレンズの汚れ、歯垢などが、バイオフィルムのわかりやすい例です。
 ただ、目に見えないぐらい薄いバイオフィルムは、身近なあらゆるモノの表面に形成されていると言ってよいでしょう。
 バイオフィルム内の菌は生存力が強く完全除去が難しいため、衛生環境を重視する食品や医療関連の現場では、特別な
 対策の必要性が注目され始めています。



   図:バイオフィルムの増殖・形成 (Monroe D. PLoS Biology2007, 5, e307)

【研究の注目点:学問的視点から】
  このバイオフィルム中の微生物細胞は、基礎微生物学的にも大変興味深い存在です。
 特に、よく実験に用いられる液体培養の浮遊細胞とは、細胞の生理状態が大きく変化していることや、
 さらに詳細に見ると、同じバイオフィルム内でも微小局所環境の違いに応じて多様な細胞が現れること、
 など、バイオフィルムに特有の新現象や新機構が、近年相次いで発見されつつあります。

【最近の研究と新発見】
  最近、当研究室では、このバイオフィルムにおいて、本来は抗生物質感受性の細菌細胞が
 一時的な耐性を得てしまう Persister Cell 化という現象に関して、顕著な促進効果の存在と、その効果が
 数日から数週間もの長期間記憶される現象を初めて発見し、 国際学術誌[2018][pdf]で発表しました
 (大学院生が、ドイツの国際学会で発表)。
 またこれらの成果は、日本経済新聞でもニュースとして取り上げられました。

  また当研究室では、このバイオフィルム細胞の遺伝子水平伝播に関して、大腸菌モデル系を用いて、
 様々な新現象や新機構を初めて発見し、国際学術誌(最近発表論文"[1]""[2]""[3]""[4]")や
 海外学会などで積極的に発表を行って来ました(大学院生が、スペイン・トルコ・スイス・イタリア・
 フランス・ドイツなどの国際学会で発表)。
 またこれらの成果は、朝日新聞や日経産業新聞でもニュースとして取り上げられました。

【世界各地で生まれる新型食中毒菌】
   遺伝子水平伝播 とは、細菌から細菌へ遺伝子が移る現象のことで、新たな食中毒菌多剤耐性菌の主な発生原因となっています。
 例えば、近年、 欧州で大規模な食中毒を引き起こして世界的話題となった 病原性大腸菌O104などは、比較的最近、環境中の
 どこかで、病原性遺伝子や抗生物質耐性遺伝子を多重に獲得して生まれた、新しい菌であることが明らかとなっています。
 近年、日本国内で焼肉店のユッケなどから大規模感染が発生した O111O157なども遺伝子水平伝播によって生まれた菌です。

【現在の取り組みと将来目標】
  現在我々は、この現在進行形の世界的食リスクの一つである、Persister Cell化と遺伝子水平伝播に関して、その機構解明
 や評価モデル系構築など、さまざまな角度から研究に取り組んでいます。 この研究は、将来的に、食環境中での新病原菌や
 多剤耐性菌の発生を防ぐ新技術や管理システムの進歩をもたらし、安全安心な食環境づくりに貢献できると考えています。

【研究室での学びと進路】
  当研究室では、上記のような最新の研究活動を通じて、講義だけでは得られない 高度な研究力(立案/遂行/問題解決)
 や、情報力(収集/分析/発信)など、最新の専門力に加え、社会でも役立つ柔軟な応用力を養う研究室教育を行っています。
 当研究室の大学院修了生は、食品/製薬企業・研究機関・管理栄養士・教員をはじめ、幅広い最先端分野で個性豊かに活躍しており、
 大学院で身に付けた高度専門力と応用力が高く評価されています。卒論生も管理栄養士・公務員・食品業界などで活躍中です。

【大学院生を募集しています】
  微生物・遺伝子・食衛生に関するユニークな研究を行いたい人、専門力を高めたい人、国際学会で発表したい人、など、
 自らの能力を高める意欲を有する人なら、動機はさまざまでも、広く受け入れ可能です。
  大学院で高度な専門力と応用力を身に付け社会で活躍しましょう。 大学院生は毎年2回募集(7月&1月入試)しています。
 他大学や他分野からの大学院入学もOKです(入学実績あり)。興味ある人は、遠慮なく下記のメールへ問い合わせをどうぞ。
 研究の詳細や講演依頼などに関してご質問のある方も、お気軽に下記メールへ。

連絡先(eメール):smaeda(アットマーク)cc.nara-wu.ac.jp
現在の研究テーマ
1. 細菌のパーシスター細胞化とその記憶現象に関する研究
    パーシスター細胞とは、本来は抗生物質感受性の細菌細胞が一時的に耐性化した細胞です。
   耐性遺伝子を獲得することなく耐性化するので、細菌感染の抗生剤治療の際に根絶が難しい原因となっています。
   当研究室では、バイオフィルム中でこうした細胞が顕著に増加し、一度出来ると環境が変わっても長期残存する
   記憶現象を発見しました。
    
2. 微生物バイオフィルムにおける遺伝子水平伝播に関する研究
    遺伝子水平伝播とは、遺伝子がある細胞から別の細胞に移動する現象です。抗生物質耐性や病原性に関する
   遺伝子が移動することで、スーパー耐性菌や新たな病原菌の発生原因となると言われています。
   当研究室では、バイオフィルム中でこうした現象が起きやすいことを発見しました。

主な発表論文や活動はこちらのリンク


講演可能なテーマ
   バイオフィルム、細菌の遺伝子水平伝播、抗生物質耐性菌、遺伝子組換え食品の安全性、など。

過去の研究分野
   大腸菌の遺伝子活性化機構、肝細胞の機能(主に細胞死)制御、遺伝子多型の簡便分析と生活応用、食リスク認識など。



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Last Updated on July-2018