Cyclooxygenase pathway

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  COXは、アラキドン酸を基質とするプロスタグランジン産生の律速酵素です。  COXにはハウスキーピング型のCOX-1と、誘導型のCOX-2の二種類のアイソザイムが存在します。  ①COX-2は炎症性刺激により誘導され、抗炎症ステロイド剤デキサメタゾンにより抑制されることから、炎症と関わりの深い酵素です。  さらに、②炎症だけでなく発ガン、アルツハイマー病、生活習慣病などにも関与することが示唆されています。  ③一方、COXにより産生されるプロスタグランジンD2の代謝物である15d-PGJ2が核内受容体PPARgのリガンドとして作用することが報告されていますが、われわれは、この15d-PGJ2がPPARgの活性化によってCOX-2の発現をフィードバック制御することを見出しました。  以上のことから、われわれはPPARg存在下でCOX-2発現を抑制し、さらにPPARを活性化させる物質の検討は食品成分の新しい機能性評価に結びつくと考え、研究を進めています。

用語解説


* 参照元 未記載の場合は生化学辞典 第2版 [東京化学同人]から参照

Phospholipid [リン脂質]


リン脂質は生物を構成する細胞の種々の膜系、たとえば原形質膜、核膜、小胞体膜、ミトコンドリア膜、ゴルジ体膜、リソソーム膜、葉緑体膜、細菌細胞膜などを構成する主要な脂質である。また血清脂質や卵黄などにも含まれている。リン脂質は糖脂質とともに複合脂質とよばれる。リン脂質はさらにその構造によりグリセロリン脂質とスフィンゴリン脂質に分類される。

Phospholipase [ホスホリパーゼ]


ホスホリパーゼはリン脂質加水分解酵素の総称であり、グリセロリン脂質およびスフィンゴリン脂質を加水分解する酵素。加水分解されるグリセロリン脂質のエステル結合の位置により、A1、A2、C,Dという名称が付けられている。

Cyclooxygenase [シクロオキシゲナーゼ]


アラキドン酸に2分子の酸素を導入してプロスタグランジンG2を合成する反応(リポキシゲナーゼ様反応)を触媒するオキシゲナーゼで、哺乳動物のいろいろな組織に存在する膜結合性糖タンパク質である。

Aspirin [アスピリン]


アセチルサリチル酸。サリチル酸誘導体・解熱薬・抗炎症薬。その作用機序に関しては従来より諸説あったが、現在では、発熱・発痛・炎症の触媒物質であるプロスタグランジンの生合成阻害作用で説明されている。副作用として胃腸管出血、中枢症状などがある。

Indomethacin [インドメタシン]


インドメサシンともいう。非ステロイド系抗炎症薬。臨床上はリウマチ、関節炎、通風などに用いられるが、中枢、消化管に対する副作用が強い。その作用機序はプロスタグランジン生合成阻害作用(プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ阻害作用)と考えられている。

Ibuprofen [イブプロフェン]


非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAID)である。関節炎、生理痛および発熱の症状を緩和し、また、炎症部位の鎮痛に用いる。(ウィキペディア フリー百科事典より参照)

PG [プロスタグランジン]


アラキドン酸のようなエイコサポリエン酸から動物組織で合成される一群の生理活性物質。下図のプロスタン酸を基本構造とし、五員環部分につく酸素原子と二重結合の違いに応じてA~Jの各群が区別される。また、側鎖の二重結合の数によって、1~3群があり、両者を組み合わせてPGE1、PGH2、PGA3というように分類・表記する。

TX [トロンボキサン]


アラキドン酸のようなエイコサポリエン酸から動物組織で合成される生理活性物質の一種。下図のトロンバン酸を基本構造とし、六員環のオキサン部分にエポキシドをもつものをTXA、二つのヒドロキリル基をもつものをTXBとよぶ。プロスタグランジンのように、側鎖の二重結合の数に応じて1~3群があり得るが、そのうち2,3群がエイコサテトラエン酸とエイコサペンタエン酸からつくられる。

PPAR [ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体]


ほとんどの脊椎動物において発現している核内受容体の一種。細胞内のペルオキシソームの増生を誘導するレセプターとしてアフリカツメガエルにおいて初めて発見され、炭化水素、脂質、タンパク質等の細胞内代謝と細胞の分化に密接に関与している転写因子群であるとされている。ウィキペディア フリー百科事典より参照)

 → くわしくは次ページ「PPAR」に掲載