ひとりごと 14[H25.4.8 更新]
奈良女子大にお世話になって9年目となりました。研究も教育も、思ったようにすすみませんが、様々な先生や学生たちのお蔭で進むべき方向は見えてきたように思います。自分に残された時間を考えて計画を立てなければいけない年になったとも思います。最近、佐川美術館に行きました。その中で、平山郁夫画伯の「平和の祈り-サラエボ戦跡」という絵が深く心に残りました。その解説を読んで感動しました。科学も感動することが大切だと思います。また科学の目的も芸術と同じところにあると思います。非常に難しいことですが、それを目指す気持ちは持ち続けたいと思います。
「戦争の苦しみから生まれる芸術は、泥沼に咲く蓮の花だ。サラエボは、画家としての私に、どんな境遇や環境にあろうと、平和を祈る作品を描き続けなければならない、と改めて覚悟させた。画家にとって、感動することがいかに大事であるかを再認識した。苦しみを持っているからこそ、美しい芸術を生み出せるはずだ。それこそ本物の芸術なのだ。ただ、恨みつらみをそのまま描くのではなく、もっと浄化して形 にすることが、死者を本当に生かす道ではないのか。恨みからは、新たな憎しみは生まれても、新しい創造は生まれないのだ。(平山郁夫、右田千代『画文集 サラエボの祈り』)